あふれるほどの愛を


今のなんだったんだろ…?

疑問に思いながらもあたしは屋上へと足を進めた。

ーーーキィ

「やぁ、愛川!」

「はぁ…なんであんたが居るわけ?」

ドアを開けると、目の前には今日一番というほど会いたくない人に会ってしまった。

「そんな事言うなよ。弁当食べるために来たの」

「あっそ。あたしは一人になりたくてここに来たのに。なんで坂井がいるのよ」

「なんとなく?屋上に行きたい気分だったんだよ」

「なんとなくって、だったら違うところに行けばいいじゃん」

「冷たいな愛川は。仮にも俺たち夏休み遊びに行く中じゃん?」

「あー村田が言ってたやつ?それあたし行かないから」

目の前の坂井は、目をまん丸にしてて。

「なんでだよ?」

なんて言って来た。

なんでって…

「行きたくないから行かない」

「何でだよ?せっかく村田からご褒美貰えたんだぞ?最高の夏休みにしようぜ?」

「なに言ってもあたしは行かないから」

坂井にどんな事を言われてもあたしは折れない。

「海行けば、気持ち軽くなるんじゃない?」

「はぁ…あんたになにが分かるわけ?海に行って気持ちが楽になるならとっくに行ってるよ‼
坂井にあたしの気持ちなんか分からない‼」

坂井の言葉に胸が騒ついた。

気付いたら、口が勝手に動いてて。

坂井は、びっくりしていた。

でもそれはつかの間、すぐ俯いてしまった。


海なんか…そんなとこ行ったって、何も変わらない。

「ごめん…」

そう残しあたしは屋上を後にした。