あふれるほどの愛を


side優心

今は4時間目で数学だ。

今日はなんか時間が経つの遅い気がする。

「3にXを代入して…」

先生が説明していることも頭に入ってこない。

話し変わるけど。

最近、坂井に流されてる気がする。

この前だって、気付いたら坂井に話してたし…

誰もいないのに…

あたしのことを分かってくれる人なんて

あたしを優しく包み込んでくる温かさだって。

そんなもの、あたしには必要ない。

必要ないはずなのに…

今日、調子に乗ってお弁当なんか作ったけど…

あたしは、今も…この先もずっと一人なんだ。

キーンコーンカーンコーン

授業の終わりを告げるチャイムがなり、あたしははっとする。

周りでは、仲良し同士机をくっつけて昼食の準備をしていた。

「あんなの上辺だけでしょ」

一瞬過去に記憶が蘇り、小さく呟いた。

あたしは、今朝作ったお弁当を持ち、教室を出た。