あふれるほどの愛を


教室に入ると、優斗が真っ先に俺のところに来た。

「はーるきっ。何で昨日こなかったんだよ?待ってたんだぜ。いろいろ聞きたくて」

「用事が出来たんだよ。聞きたいことってなんだよ?」

そういうと、優斗はにやにやした顔で俺を見ていて。

「そうか。まさか、昨日優心ちゃんといたの?」

「えっ、何でわかるのってかなんでお前が優心ちゃんって呼んでるの?」

「やっぱ一緒にいたんじゃん。別にいいじゃん?もしかしてヤキモチかな〜?春樹くん?」

ヤキモチ…?

そんなわけ…ない…よな。

「そーじゃねーよ。ヤキモチなんて。」

目の前の優斗は「ふーん」と、こちらをちらちら見てて。

「まだ気づいてねーの?自分の気持ち。」

「は?自分の気持ち?意味わかんない」

目の前の優斗が俺の言葉で、「はぁ…」と大きなため息をこぼした。

「優心ちゃんに対しての気持ち。昨日ずっと一緒にいたんだろ?自分の気持ちに気づかなかったのかよ?」

「だからないって。」

「例えば、ドキドキとかしないわけ?優心ちゃんといてさ」

ドキドキ…

あの時。愛川が朝二つに縛っている髪を見て、愛川をみて。

…ドキドキした。

「その顔はあるな。もう分かってんだろ。自分の気持ち。素直になれよ。久しぶりに見たよ。お前があんなに笑ったところ。お前、あの時から作り笑いばっかしてた。

言わなかったけど心配だった。俺にも作った笑顔だったからな。でも、この前優心ちゃんといた時のお前の笑顔、本物だったぜ?」

優斗は優しいまなざしで俺を見てた。

「この気持ちは自分で気づかなきゃダメだから。

優心ちゃんになにがあるのか分からないけど、頑張れよ。俺はお前の味方だぜ?たとえ何があったとしてもな。」

優斗の言葉を聞いて、何も言えなくなった。

ごめんな…今まで。

そして、俺は優斗に最高の笑顔で『ありがとな』と言った。

「うん。今日は部活だからな?」

「分かった。ってか、俺、今日から部活毎日でるから。よろしくー。」

「まじか。応援してるぞ」

「優斗もな。でも、抜け出すときもあるかもだけど」

そういうと、優斗は「お前らしいけどな」と笑っていた。