あふれるほどの愛を


ーーーチュンチュン

虫の声がして、俺は目を開けた。

うん?

なんかさっきからいい匂いが…。

俺はベットから出て、リビングに向かった。

そこにいたのは愛川だった。

俺に気づいた愛川は、「おはよう」と笑顔で挨拶された。

「あぁ、おはよ」

でも、愛川のその笑顔は作り笑いで、昨日の事を忘れようと必死に笑顔を作っているようにも見えた。

「坂井!これ早く目が覚めちゃって朝ごはん作ったんだ!だから一緒に食べよ?」

「だな。うまそー」

テーブルには、色鮮やかな料理が並べられている。

「「いただきまーす」」

俺は、大好きな卵焼きを口に運んだ。

「うまっ。この卵焼きちょーうまい!」

目の前の愛川は、俺をみて、笑っている。

そんな愛川をみると、なんか嬉しくなって。

たくさんあったご飯は、あっという間になくなった。

「俺、普段朝飯食わねーけど、今日はすごくうまかった!ありがとな、愛川」

「ううん、喜んでくれてよかった。でも、朝ごはん食べなきゃダメだよ?」

「分かってるって。じゃ、学校行く準備するか?」

「分かってなさそう。まだ早いよ。7時にもなってないよ。」

「まぁ、よくない?」

「よくなくない!なんか面白いドラマない?」

「あるけど…」

「じゃ、見よ?まだ時間あるし。あたし決めていい?」

もうすでにチャンネル持ってるし。

「どーぞ、お好きに」

りょーかいといって愛川はドラマを選び始めた。

「これ、見る!!」

そういって愛川が選んだのは、今放送されてる面白いと人気のコメディードラマだった。

「オッケー!俺も見たかったし。」

「ははっヤバイ。ちょー笑える」

「俺も。笑い過ぎて腹痛い」

ふと、時計が目に入った。

「もう、7時半かそろそろ家出るか」

「うん、だね。また見せてね」

「いいよ。いつでも来いよ」

俺はテレビの電源を切ると、制服に着替えた。