「おまたせ。これ飲んてみ?」
坂井から、ココアの入ったコップを受け取ると、一口飲んだ。
「おいしい…」
それは自然にこぼれた言葉だった。
そう言うと、坂井はニコッと笑い
「よかった。俺ココア好きなんだよね。おかわりたくさんあるから言ってな」
ヘェ〜坂井ってココア飲むんだ。
ちょっと意外…
「美味しかった、ありがとう」
「少しは落ち着いたか?」
「うん、おかげさまで」
また、坂井に迷惑かけちゃったな…
「坂井…助けて…家が怖いよ」
あたしがそういうと、坂井は黙って頭をポンポンと叩いてくれて。
「なにがあったんだ?」
と聞いてきた。
今までは、無理には聞いてこなかったのに。
話したくなればでいいよっていつもなら言うのに。
でも、今日はなんか話したくなったんだ。
坂井なら…坂井なら話してみてもいいかもって。
ーーー自分の心の中にある気持ちを…。

