ご飯を食べ終わったあと、あたしたちはソファーに座って録画していたドラマを二人で見ていた。
そのドラマは、家族の絆を描いたドラマだった。
家族みんなで仲良く夕飯。
休日に、家族でお出掛け。
みんなで祝っている誕生日会。
何気ない会話で盛り上がる家族。
それは、あたしの家ではあり得ない光景ばかりで。
見ていると、自分とは真逆なことばかりで、悲しくなった。
ふと、隣に目を向けると、坂井は夢中でドラマを見ていた。
目の前のドラマに視線を戻すと、
ドラマの家族は、笑っていた。
父に肩車されている妹。
母と仲良く手を繋いで歩くお姉ちゃんの姿。
あたしは、耐えられなくなり坂井にばれないように席を立とうとした。
が、坂井に見つかり、手を引っ張られた。
「どこ行くんだよ…ってえっ?」
あたしの顔を見て、身を見開く坂井。
「なんて顔してるんだよ」
「えっ?」
「愛川、そんな顔するなよ…」
「ごめん、そのドラマ見たくない…」
ドラマはクライマックスに向かってて、感動のシーンに取り掛かったいた。
「分かった」
坂井はあたしの意味がわかったのか、焦ってチャンネルを回した。

