ガチャーーーー

俺は、玄関に入り、スニーカーを脱いだ。

ふと、目を玄関に向けると、愛川がぼーっとして立っていた。

「そんなことに居ないで入って」

「うん…」

「お邪魔します」

愛川は脱いだローファーをきちんと並べていた。

しっかりしてるんだな。

「両親は?」

「いないよ。俺一人暮らしだから」

そう言うと、愛川はびっくりした顔をした。

「そうなんだ」

「そう。だから気にせず自分の家みたいにくつろいでいいからな」

その瞬間、愛川の顔が強張ったのが分かった。