ーーーーープシュ
今、あたしは坂井と一緒にバスに乗っている。
さっきから、隣にいる坂井はずっと黙ったままで…
どうしたんだろ…
「着いた。降りるぞ」
坂井に突然手を握られ、バスを降りた。
「バス代は出すよ」
さっき帰りの電車代だって出させちゃったのに、バス代まで。
そんなの悪いよ…
なのに坂井は、全然大丈夫って言って…
「坂井って優しいね…」
気付いたらそんな坂井にそう言っていた。
「そんなことねーよ。愛川だから」
目の前の彼は、あたしの顔を覗きこんで見ていた。
「な、な、なにそれ?」
あたし、噛み過ぎ…
「噛み過ぎ。だから、俺だって誰にでもほいほい優しくないぞ」
ほら、坂井にも言われた。
そんなことない。
坂井は優しい。
坂井の優しさに触れて涙をこぼしそうになった。

