渡された保冷剤を目元に当てた。
「冷たっ」
「ほら文句言わない!」
いつのまにか坂井はあたしの隣に座ってて。
しばらくして落ち着いてきたころ坂井が口を開いた。
「聞いちゃいけないことかもしれないけど、なんでそんなになるまで泣いてたの?」
「聞いちゃいけないかもって思うなら、聞かなきゃいいでしょ?」
「そうなんだけど…あった時から、この世の終わり見たいな目してたからさ。なんかあったんだなあって思って。てか、おかしいだろ?こんなに腫れてるのに分からないなんて」
「なんもなかったよ。ほほら、泣ける映画家で見てさ…「号泣したってか?」」
号泣したって言おうとしたのに、坂井に遮られて言われてしまった。
「そう!感動しちゃって」
「そんな言い訳、俺がそうなんだって納得すると思ってんの?」
「それは……」
「昨日、なんかあったんだろ?」
「だから何度も言ってるでしょ?誰も信じてない。だからあたしは何も話さない」
「あっそ。俺はお前のこと信じてるけどな。まあ、今はまだ俺の事信じられなくても、これから先信じてくれるって信じてるよ」
「でもな、ため込みすぎるといつかは爆発するぞ」
「そうかもね。そろそろ爆発するかも。」
もういい加減に限界だし…。
「てかさ、俺言ったよな?泣きたくなったら俺を呼べって」
「言ったけ?覚えてないけど」
「つめたいな、愛川は」
ほんとは、覚えてるけど……
これ以上あたしに近づいてほしくなくて嘘ついた。
坂井……あたしなんかになんで近づくのよ…
怖い……
これ以上坂井と一緒に居たら、あたしの心の中を見透かされそうで、
あたしが本音を話してしまいそうで……。
――――――怖いんだ。