今は玄関の前。
玄関は空いて居なかった。
あっ、亮がまだ居るかな?
あたしはピンポンを押した。
「誰ですか?」
聞こえてきたのは弟の亮の声だった。
「あたし、優心」
あたしの声と同時に開いた玄関。
「おねーちゃんか。鍵忘れたの?」
「うん。ありがとね。亮はまだ学校行かないの?」
「もう少ししたら行くよ。」
「そっか。」
「そういえばなんで僕の誕生日の日帰ってきてくれなかったの?待ってたのに」
しばらくの沈黙のあと、亮はあたしが今一番触れて欲しくない事を口にした。
あーなんて言おう…
まさか、帰って来るなって言われたからなんて冗談でも言えないし。
「ごめんね、ちょっと用事があって帰れなかったんだ」
あたしがそう言うと、
「そっか。でも、来年は一緒にお祝いしてね」
と、言われた。
「うん、おねーちゃんがいた方が良かった?」
なんか勝手に口が回っていた。
これで、《居なくて良かった》なんて言われたらいくら子供が言ったとしても、傷つくのに…
なぜか聞いてしまったんだ。

