空には星がキラキラと光って、



波の音がザーザー聞こえる。



そんな目の前の景色と真逆の日、あたしは信じることをやめた。





人は、大切なものを失うと生きる気力をなくすんだよ。




隣に“誰か”がいる。




その“誰か”がいなくなっただけで、





世界は変わってしまう。




カラフルだった日々がひとつの出来事であたしの世界なモノクロになったように。



「あたしってバカだよね。
信じてた人に裏切られたからってこんな風になって。
でもさ、あの時は精一杯だったんだよ、毎日を生きるだけで。
油断したらさ、自分がどうにかなっちゃうんじゃないかって怖くて。
絆って目には見えないものだけど、大切な人との絆ってすごい力を持ってる。ふたりの絆はいつの間にか消えてなくなってたのかな。

あたし、信じないじゃなくて信じられないんだよ、こんなの言い訳にしか聞こえないと思うけど。

信じるって頭で考えてするものじゃないでしょ?

信じてたから裏切られるんだって言われたことあったのね、それ当たり前じゃんって思って。
始めから信じてこなかったわけじゃないんだから。

あの日からなにもかも怖くなったのに。

信じることの先にあるのは裏切りだと思……ってた。


あたしは思ってる。

裏切りほど怖いものはないって。

一言で、行動で人をこんなにも苦しめたり、臆病にするんだもん」





悔しくて……でも悲しくて。





人間は人を傷つける。




ずたずたにして、ボロボロにして


捨て去る。



ただ、大切にしたいだけなのに…。




みんな、みんな一生懸命なだけなのに。




失ったものを数えたら、
キリがない。




今空にある星より、きっと、多いはず…





「別れは突然で最悪。
なのに思い出すのは楽しくて笑ってたときのだけなの…っ。悲しいことだって辛いことだってあったのに、思い出すのは違う!まるで、そういう思い出は消されたように思い出せないの。

頭の中にくっついて離れないの!
どうしてっ?」






たくさんの思い出の中には




こういうのもあるんだね






思い出すだたびに、






胸の中をかき混ぜられる………






———そんな思い出。










「自分の中にある気持ち全部吐き出すんだよ。
それが前に進むための一歩。」




「俺な、昔は今とは真逆だったんだ。元々父親は生まれたときから居なくて母親も俺が物心着きはじめた頃に俺を捨てた。その時は人を傷つけてもなんとも思わなかった。感情が麻痺してたんだよ。きっと想ってたんだよ。自分だって母親にたくさん傷つけられてきて、だから、俺も人を傷つけたって許されるって。今思えばさいやくだよな。やられたらやり返すみたいで」






「私はそうは思わない。
あたしもそうだった。毎日散々嫌みを言われて、こんなこと言っていいのかわからないけど、当たり前のことだよ。たった一日しかない今日を自分なりに一生懸命生きてたんだから。人間きれいごとだけじゃ生きてこれないし」









「俺、全然かんぺきなんかじゃないだろ?みんなに完璧なんていわれてるかもしれないけどほんとは違う。愛川のこと守るなんてカッコつける言葉ばっかいってたけど、ほんとは真逆なんだよ。」





「私はそっちの方かなんかいいかな!」



「でも、守るっていうのはほんとだから。
あの写真の笑顔を、いや、心からの笑った笑顔を守りたいんだ。」






「俺はあああぁぁー!
ずっとゆあを守るからあああぁぁー!!!」





海に向かって叫んだ言葉はやまびこのようになぜかかえってきた。