「あたし……っまた昔みたいになれるかな…っ…?幸せになれるの…っっ」



前に進める…っ?



「なれるに決まってるだろ?
俺が愛川を幸せにしてやるって言ったじゃん

忘れたわけじゃないよな」



寝てるはずの坂井の声に驚きながらも、




あたしは笑った。




泣きながら笑った……。








「あれ?春樹くんいたの?
優心ちゃん、春樹くんが嫌になったらいつでもおいでね!」



「おいっ!聞こえてるぞ」



「だって、聞こえるように言ってるもーん。
2人の結婚式には私も呼んでよねっ!」






け、け、結婚???!!!




「ちょ、ちょっと麻衣ちゃん結婚って…!」



あたしがそういい終わる前にブチっと電話は切れた。



もう、麻衣ちゃんたら!





少し顔を赤くするあたしに対して、坂井はなぜか満悦の笑顔。


「嵐が去ったみたいだな」




「うん……っていつから起きてたわけ?!」



「愛川が泣き崩れてたころから?

ってか、真夜中に泣いてたんじゃねぇかよ」




「あたしにとって夜中に起きると思い出が蘇るの」




「だったら、俺を起こせよな。
麻衣ちゃんから電話こなかったら1人でこっそりなくつもりだったんじゃねぇの?」



「そ、それは……!」




「それじゃ俺の役目がねぇじゃんかよ。
いつでも起こせよ。俺は愛川になら夜中起こさせても、呼び出されてもいいから」



唇をきつく噛む。



「あたしに呼び出されてもいいなんてやっぱり変わってるよ、しかも夜中にって」




「お前の為なら睡眠時間削れるってことだよ」




「ほんと変わり者」



そう口では言ってても




“嬉しい”



心ではそう思ってしまった。






こんなのあたしらしくないよ…






もっと強くて、感情を隠すの得意だったはずなのに、、




坂井と出会ってから、真逆になってる。




たとえ、心では泣いてたとしても、


誰かの瞳に映るあたしはいつだって楽しそうな表情に見えてたはず。



そうやって、今までやってきたんだから。



どんなに辛くても、苦しいときだって。





誰かに気持ちを悟られないように今まで行きてきたはずなのに。




どうして、坂井にはわかっちゃうの?


あたしを見透かすの?





なんで、本当のあたしを出そうとするの……っ!