どれくらい心の奥の思いを出しただろうか?



布団は涙でびっしょり濡れていた。



涙ってなんで止まらないんだろうね。



あの日から泣いてきた。



大雨の日、道の真ん中で泣き崩れた日だってあった。



どんなに、泣いてもないても涙は次から次へと流れてくる一方でとまらることはなかった。




「優心ちゃん、落ち着いた…?」



ぎゅっと握りしめてたスマホから麻衣ちゃんの声がした。



その声が優しくてて…あたしはまた泣いてしまった。



「どうして、電話切らなかったの…」



「切るわけないじゃない。
誰だって泣き叫びたい時あるもん。
よく言葉にしたじゃない。
それを、ずっと優心ちゃんは一人で抱えてしたんだね。そんな大荷物を。

なんで、そんなに自分のことを責めるの
。自分のこと責めたっていいことないんだよ」






顔を見なくてもわかる。


今麻衣ちゃんは怒ってる。





「……っ…」



「そうやって自分のこと追い込んでるの?信じなきゃ信じなきゃって。一度辛い経験があったら、信じれなくなるのは不自然なことじゃないよ。同じことになったら…って思うのが普通だと思うよ。

私は…誰かを失くしたことはないから分からないけど、もし自分の周りにいる人が突然いなくなったらって思うと、心に穴があくと思う。

優心ちゃんがあいかちゃんを失う怖さを知ったからってみんなが優心ちゃんの周りからいなくなっちゃうわけじゃない。
だから、自分から大切な人を作らないっていうのは、間違ってる。
本当に優心ちゃんのことを思ってくれてる人ならそういう壁を壊してくれるんじゃないのかな?」






“優心ちゃんの周りにもそんな人いるんじゃない?”



「優心ちゃんを支えてくれる人
一緒に笑ってくれる、泣いてくれる人
信じてくれる人…

いる…でしょ?」



あたしは、電話を耳から遠ざけ、寝ている坂井を見つめた。



あたしと出逢ってから、



苦しいとき、悲しい時、つらいとき。


そばにいてくれた。




自分が自分で入れるとき、楽しくて笑ってた時隣には坂井がいた。



誰にも触れさせなかった、




触れなかった心の奥にある扉にむかって力強くぶつかってきたのは……



「坂井……春樹……」



彼だった。




名前を呟いた瞬間涙が落ちた。


その涙は坂井の頬に落ちる。





「あたし、坂井を失いたくないって思ってる」




「人はさ、単純じゃない?だからいつか失うっていう犠牲があっても人を愛するんだよ。人間誰だって一人にはなりたくないから。

失うの怖がってたら、なにも出来ないし、失うことにとらわれてるよりも誰かを大切に思ってる自分のほうが好きっておもえる」





「辛くて苦しい思い出を薄くしてくれるのは、出逢い。
確かに優心ちゃんは人に傷つけられたからもしれない。だけど、その傷を癒してくれるのも人なんだよ」




心の痛みに気づいていながらも、




あたしは自分の心に嘘をついてきた。





でも……、もう正直になってもいいかなーーー。