「坂井…ありがとう……って寝てるし」




当たり前だよね。


明け方に呼び出したんだもん。


寝てたに決まってるよね。


それなのに、走ってあたしを探しにきた。



バカ……だけど、その優しさに何度も救われてきたんだ。




「ありがとう…」




何度言っても足りないね。




寝ている、坂井の頬に軽くキスをした。




「引っかかった?」



「え?お起きてたの!!?」



「あー。キスするってことは治ったんだ?」



「お、おかげさまで」



「覚悟できてんの?」



「バカにしてるの!?」



「ははー嘘に決まってんだろ?
で、病院行くか?」



「病院言っても治らないよ。
精神的からくるんだってさ。その原因になってるものを取り除かないと治らないんだって。ほんと困るよね。」




「…そっか。ってことは、家でなんかあったのか?」




「色々?」




「俺のせいかもしれない」




「…?どういうこと?」



「昨日、愛川のお父さんにあったんだ。それで愛川のこと色々言ったんだ。そのせいかもしれない。ごめんな」




「……なにしてくれてんの!!!!余計なことしないでよ!あの2人には勝てないの。なにをしても。もういいの!ほっといてよ…!」





「ほんとごめん。でも、救いてんだよ、お前のこと」



「あたしを救いたいと思ってるならなにもしないで、お願い」



「でもさ、「もう寝る!」




あの2人を変えるってことをどんなことだと分かって言ってるの?




無理なんだよ。




なにをしても、

あの人たちを変えるなんて、



どんな人でも不可能なんだから。





寝れないのに…。



布団に潜った。



この苦しさから逃れたい一心で。






誰だって苦しんでる。




悩みがない人間なんていないはずなのに、


このときは自分のことで一杯でそんなことにもわからなくなっていたんだ。