「話ってなにかな?」
「愛川のことで」
「優心なにかしたのかい?」
「いえ。前に、愛川が帰らないときありましたよね。愛川のこと心配しないんですか?無断で泊まっても」
「そんなことか」
「そんなことって!愛川がどう思ってるかどんな思いで家にいるか分からないんですか!?」
「あいつは「あいつ?自分の娘のことあんたはあいつって言うのかよ!!」
父親の言葉を遮って言う。
愛川がどんな思いして…
家にいるか
父親はわかっていない。
「坂井くんに関係あるのか?」
「あります!」
「ずいぶんと偉そうなんだね」
「あんたらが、愛川にしてることのほうがよっぽどひでぇとこなんじゃねぇの?」
「坂井くんには関係ないことだ」
「関係あんだよ。家族ってよ、自分が自分がらしくいられるところだろ?子供がそーいう姿でいられるような空間を作るのが親の役目でもあるだろ?なんで親が子供を苦しめるんだよ…!親が子供の気持ちわかってやらねぇで誰がわかってやるんだよ」
「俺たちなりに優心のことを思ってるんだ。他人の君には分からないこともあるんだ」
「なんで、なんであいつが苦しむ言葉をかけるんだよ!」
君には関係ないことだとそう一言を残し愛川の父親はカフェから出て行った。
「なにやってんだよ…俺は」
俺は、なにをしたかったんだ。
家族って…なんなんだろうな。
答えは考えて、考え続けても出てこないだろう。
だけど、俺は信じたい。家族という形ない暖かなものを……。
ーーーーーー…………
何時間カフェにいたんだろうか?
気付けばカフェには俺しかいなかった。
頼んだ飲み物に一ミリも手を付けずにカフェを出た。
空を見上げると、空に暗い雲がかかって今にも雨が降りそうだった。

