「そろそろ帰るか」


「だね。」


家帰りたくないなぁ〜って思ってる自分がいる。


それはあたしのわがまま。


「また連れて来てやるから」


まるで心を読まれるいるように、坂井はほしい言葉をほしい時にくれる。



「俺ん家泊まりにくるか?」


「えっ」


「冗談だよ」


そう言ってあたしの髪をくしゃくしゃにする。


「もぉ〜びっくりすんじゃん!」



「本気にしたんだ。優心ちゃーん?」



「ず、ずるい///」



こんな時に名前を呼ぶなんて。


「優心ちゃん真っ赤♪」


「さっ坂井がいきなり名前で呼ぶからじゃん…」



「恋人同士なんだから当たり前だろ?」



「そんなことされたらドキドキする…」



「俺にドキドキしてればいんだよ。ま、そんなんで真っ赤になってどうすんだよ。今度俺ん家くる時は覚悟してこいよ」



「か、覚悟……?」



「お前は俺の彼女なんだから、何もなく帰されると思ったら大間違いだからな」




意味が分からず、ポカーンとしてしまう。

「だーかーらっ!今までとは違うってこと!彼氏の家に行ったらどうなることくらいわかんねぇの?それも1人暮らしの。ま、覚悟してくればいんだよ」




そう言ってあたしに近づいてくる坂井。


どんどん近づいてくる坂井にあたしは一歩ずつ後ろにさがる。


でも、行き止まりになってしまう。


「優心………」



坂井があたしの名前を呼ぶと息が顔にかかるくらいまで近づけてくる。


や、やばい…



心臓が壊れちゃうよ。



ドキン……ッドキッ。



「え?優心?ゆあーーッ」



坂井があたしの名前を大声で呼ぶ声が聞こえて……

あたしの意識はそこで途切れたーー。