次の日もまた次の日も暇さえあれば病室に通ったけれど、坂井の意識がもどることはなかった。
「こんばんわ」
声がして振り向くと白衣を来た先生が立ってた。
「ここんばんわ。坂井は目を覚ましますよね?!元気になりますよね?」
なにも言わず立ち尽くす先生。
「先生!なにか言ってよ!ねぇ!」
「来てくれますか?前に長瀬さんに坂井さんのことを話したときに、言われたんですよ。いつも来ている女のコにも伝えてくださいって。だから、来てください」
病院の廊下がいつもよりも焼けに静かなのはあたしの気のせいではない。
あたしたちの歩く音だけが静かに響いてる。
そして着いたのは真っ白な部屋。
「坂井さんの場合、事故を起こした際に頭を強く打ってますので、今は———」
先生の話は全然頭に入ってこなかった。
いや、受け入れたくなかったんだ。
ーーー坂井が
この先一生目を覚まさないかもしれないなんて…。

