「ねぇ今度行かない?」
「どこに?」
「そんなの決まってじゃんっ♪夏の終わりにあるお祭りー」
すっかり忘れてたわ…。
ここから、2駅のところで夏の終わりに開催されるお祭りがある。
なにげに、夏の定番になっていた。
ま、今の今まですっかり忘れていたけど。
「行くっ!」
「優心ならそう言うと思った!
で、もちろん着るよね?」
ね?ね?としつこく聞いてくる。
着るってなにを?
ぽかんとしてると軽く頭を叩かれた。
「浴衣よ、ゆーかーたーっ!着るでしょ?」
「え?着ないけど」
「会わないうちに女子力落ちよね〜ってか落ちすぎー」
独り言みたいにぶつぶつ言ってる。
「悪かったね、女子力なくて!」
「いや、悪くないけど…女子捨てすぎだから!優心可愛いからもてるのに」
「どーせ女子捨ててますよーだ」
「ま、いいけど坂井くん誘いなさいよ?」
目が怖すぎますよ…愛華さん。
「ななんで坂井を誘うわけ?」
「女子だけなんて、つまんなーいじゃん。男子がいなくちゃ!」
「3人でお祭り?」
「4人!」
「あたしと愛華と坂井と…だれ?」
「うふふー、坂井くん誘う気満々じゃーん!よかった♪んー後1人は先輩誘っといた」
「はやっ!あたしが行かないって言ったらどーしたわけ?」
「無理やり行かせてたね」
まったく、強引だわ。
「先輩よくオッケーしてくれたね」
「勇気振り絞っちゃった。そしたら俺、祭りすきなんだぁーってスマイルもらっちゃったんだ!また惚れちゃった」
語尾にハートがつきそうな勢いだよ…。
「浴衣着て気合いいれなきゃーっ!!浴衣やってね、優心」
やれやれ……
テンションアゲアゲの愛華に飽きれながらも、お祭りが楽しみになってきた。
協力…してあげよっかなっ。
って、その前にどうやって坂井を誘えばいんだろ…?
あたしには、大きな壁が現れた。
ま、頑張るしかないや…。

