side優心
ーーバタンッ
「乱暴だなぁー」
ドアがしまった音を聞いて目をパチリと開く。
あたし、愛華が朝食作るために起きたときにあたしも目が覚めた。
でも、寝たふりをしてたんだけど…完全に起きるタイミングを逃してしまった。
あのフライパンの音、耳が壊れるんじゃないかってくらいうるさかった。
だからって、あんなに怒らなくたっていいじゃん。
なんだかんだ言っても、あたしはベッドからでるとすぐにリビングに向かった。
「ふあぁぁあー。おはよ」
今、起きたふりして。
「優心!やっと起きたんだ。朝食作ったから食べよっ」
ん?
あれれ?
さっきまでの怒りはどこへ行ったんだろ。
“ごめん…”
心の中で謝って愛華の隣に座った。
「「いっただきまーす」」
普通なら面と向かって座るけど、あたしたちは昔から隣同士に座るんだ。
よく、お店に行くと隣同士に座るもんだから店員さんが目をパチリすることはよくあることでもう慣れてしまった。
色とりどりの朝食。
すごく美味しかった。
「愛華、ごちそうさま!美味しかった」
「よかったぁー。これでさっきのこと水に流せそうだわ」
あれ、まだ根には持ってたんだね。
「ごめん」
「えっ?」
「フライパンで起こしたのにあたしが起きなかったから起こってんでしょ?ごめんごめん」
「ま、もーいいよ。優心が寝起き悪いの分かり切ったことだし」
「じゃあ起こさなきゃ良かったじゃん!」
「そーだね、ごめん」
なんだろ、この言い合い?
でも、これがあたしたちなんだよね。
このやり取りがなんだかんだ楽しいんだ。

