愛華〜side〜
ぐっすり眠る優心の寝顔を見ると、うちは静かに部屋を出た。
そして、ベランダにある椅子に座る。
そして空をじーっと見上げた。
するといつも思い出すことはただひとつだけ。
ーー優心との思い出。
それはなんでこんなにも優心なのか自分でも分からないほど。
高校生になってうちは、遠くの高校を選んだ。中学の人が誰にも行かない私立の高校を受験した。
それは、高校にいって気持ちを新たに歩き出すためでもあった…けど、一番の理由は優心と会わないようにだったのかもしれない。
優心と会ってしまったら、自分の気持ちが抑えられなくなるとおもったから。
ぶつけてしまうと思った。
怒りと悲しみを離れてた時間分をぶつけてしまうと思ったから。
ほんと自分はバカだと思う。
なんで、あんなに大切だった大好きだった愛華に自ら消えない傷を残してまで離れたんだろう。
あの時、自分の気持ちを少しでも伝えることができたら、伝える勇気が自分にあったのなら、二人の関係を失うことはなかったのだろうか。
そうやってずっと過去を引きずって生きてきた。
ずっと罪悪感を抱えてきた。
そして、ずっと抱えて生きていくつもりだった。
そう、あの日までは………。

