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「そこらへんでのんびりしててー」
あの後すぐ、愛華の家に来た。
来る?と聞かれた時には、もう答えは決まっていた。
こうやって夜を過ごすのも久しぶり。
仲が良かった時は…ううん。
もうやめよう。
過去を振り返ることは、やめる。
過去なんか振り向いてたってなにも得するものなんてあるわけがない。
過去は終わったこと。
終わったことを引きずっている暇があるなら、前を、今を見てたほうがいい。
今があるんだから。
ちゃんと今を生きなきゃ…!!
また今度過去を振り向いた時に、あの頃は…って過去に負けない、そんな今を過ごすことがあたしにとって信じることの一歩になるってあたしは信じる。
「おまたせ。これ見よっか!」
そう言って愛華が見せたのは中学1年生の時に大ヒットしたラブストーリーのDVDのケースだった。
「それ…っ!」
それを見てある日のことを想い出した。
「あの日、見れなかった映画のDVD。今度こそは見よ?」
「うん!はやくはやくぅ〜」
「よーしっ!再生っと」
部屋を真っ暗にして、カーテンも閉めて飲み物も、お菓子もたくさん用意して映画館の雰囲気をあたしたちなりに作ってみた。
映画を見てる最中隣をふと見ると、涙が瞳に浮かんでいた。
中1の時、あたしはこの映画が見たくて仕方なくて愛華を誘った。でもあたしが誘ったのは上映が始まってから1ヶ月も立ってて映画がいつ終わってもおかしくない時期だった。
そして、金曜日にその映画を学校帰りに見に行こうってことになったんだけど、その日の体育で愛華が顔面にボールが当たって頭が痛いって保健室で寝たんだけどそのまま深い眠りについちゃって愛華が目を覚ましたのは上映時間がとーっくに過ぎてからだった。
あたしはずっと、愛華についてたものの、いくら頭が痛かったと言って起こしても起きなかった愛華にイライラして怒りをぶつけて帰ったんだ。
今思えば、その日から一週間口聞かなかったんだよね。
今思えば、なんて小さなケンカなんだって笑っちゃうけどあの時は今よりももっと子供で何にでも一生懸命だったんだなぁって思う。
また、なれるかな?
一生懸命に、…なれる日が来るのだろうか……?
ーーーきっと来るさっ
隣を見ると微笑む愛華がいた。
全部聞かれてた!?
途中から声に出てたのかも…。
「優心らしくていんじゃない?ってか、映画に集中ー」
一気に愛華の重心があたしに向く。
寝てるし…。
さっき、映画に集中しよーって言ってた本人がすぐ寝るってどーいうことよ。
やばっ、あたしにも眠気がやって来ちゃったよ。
も〜〜愛華のせいだ!
ソファーでふたり、重心を真ん中にして頭と頭がぶつかるように寝ている姿は、『真友』そのものだったーーーー…。

