「かわ!あいかわ!」
「んん?なに?」
「いつまで寝てんだよ?もう放課後だぞ」
「ええぇー?!そんなに寝てたわけ?!」
ぼやけてる視界に映る時計を見ると、針が6時を刺していた。
「愛川が授業中寝るなんて珍しくない?なんかあっただろ?」
間違っても坂井には言えない…言えるわけがない。
だってこうなってる理由は坂井なんだから。
「なんでもない。あたし帰るから」
机にかけてあったバックを持って立ち上がり、坂井の目の前を通り過ぎた。
「1人で帰る気かよ?」
今まで聞いたことない低い声。
「いいでしょ?別に」
その声に一瞬目をぱちぱちしたが、なにもなかったように言い返す。
「俺も帰る。行くぞ」
そう言ってあたしの腕を少しきつく引っ張られた。
「「…………」」
無言の時間が2人の間に流れた。
横目で坂井を見てみたら、真剣な顔をしてた。
いつもの優しい坂井とは違った見たことない坂井だから、どうしていいか戸惑ってしまう。
「ちょっとここ寄る」
そこは、誰もいない静かなところ。
広い芝生の上にあるベンチに2人して座った。

