――――ガチャ


「ただいま」


誰にも聞こえないいくらいの声でそう言うと、リビングのドアが開いた。


「な~んだ、今日は帰ってきたんだ。帰ってこなくてもよかったのに…」

母はそう言うと、またリビングに戻って行った。

「お帰りって言ってくれないんだ」

まあ、そんなの慣れてるけど…やっぱり辛い…


あたしは、その場にため息をこぼすと、二階にある自分の部屋へと向かった。