「やっぱあれか」

「え?あれって?」

愛華はひとり言のように呟いたつもりだったみたいだったけどあたしは疑問に思って聞き返す。

「無理に誘っちゃった?さっきから優心ぼーとしてるからさ」

「そんなことないよ!すごくたのしいー」

完全にぼ、棒読みだ。

自分のばか…。

「うそ。ずっと会ってなかったとはいえ分かるよ?優心のことは。今嘘ついてる」

「そんなこと…」

「昔からそう。優心はなんでも1人で解決しようとする。心の中で思ってたって伝わらない。言葉にしなきゃ分からないんだよ。思ってること言ってよ。遠慮とかしなくていいからさ。どんなことでもいい。ひどいことでもいい。うちの話を優心は最後まで聞いてくれた。今度はうちが話し聞く番。

なんでも受け止める。優心の気持ち全部受け止めるから…」


優しい声だった。


なにか覚悟してるようにもみえた。


一瞬、思考が止まった。

このままじゃだめ…だよね。

あたしが話しても、なにも変わらないかもしれない。

二人の距離も。

仲の良さも。

でも、そうなったとしても話さないでこのままの状態よりも話してすべてをぶつけたほうが後悔は少ないと思う。

だから、話そうとした。

すべても気持ちを。

「上手く言えないかもしれないけど、、」

「そんなの関係ないよ。優心の言葉なら」

「うん」

「うちの事は大丈夫。なんでも言って!」

よく、そんな嘘言えるよ…

あたしは知ってるよ。

愛華が人の何倍も傷つきやすい心の持ち主だってことを。

そんな愛華を傷つけちゃうかもしれないけど、愛華なら聞いてくれると思いながら口を開く。