――ミーンミーン
セミの鳴き声がうるさいくらいに聞こえる。
「あー終わんない!!」
「あつ過ぎる…」
今は愛華とファミレスで勉強中。
「なんでこんなに宿題があるの?!って感じ…」
「ね!優心、ここ教えてくれない?」
そう言って目の前に数学のノートを広げる。
愛華は数学大好きなはずなのにな…なんて思いながら教える。
「ん~ここは、これにXを代入して…こう!」
「ありがと~」
「「………」」
それから無言の時間が続く。
カリカリとジャーペンの音しか聞こえない。
…こう言う時に思っちゃうんだ。
“離れてた時間”
っていうのを。
前は話が途切れることなんてなかった。
その前に時間が足りないくらいだったのに…
今は沈黙が続く。
これが今のあたしたちの心の距離なんだよね。
これが今の現実なんだ。