あふれるほどの愛を


そう言った瞬間一瞬、たった一瞬だけあたしを包む手が弱まった気がした。


その時に手を引くことだって出来たけどしなかった。


いや、しなかったんじゃない。


出来なかったんだ。


「うちだよ…うちだよね」


涙をポタポタ流しながら独り言のような小さい声で言ってたから、


離すことは出来なかった。


「そうだよ!あんただよ!」

「うん…わかってるから…っ落ち着いて…!」

「無理…!」


そう言った時ある言葉が脳裏をよぎった。



“自分の意見を言うことも大事だけど、相手の話を聞くことのほうがすごい大事なんだ。だから、時には自分の気持ちを飲みこんで相手の話を聞くことも大事なんだぞ”



行く寸前に坂井がさらっと言った言葉。


なぜか、ふいに思い浮かんだ。


待ってよ…?


今、あたし、自分の気持ちしか言ってない。


愛華の話は聞いてない。


聞かなきゃ…。


怖くても。

「わかった。聞くよ…」


そう言って、真実を聞く覚悟した。