今は六組の教室の前。

「じゃーな愛川、頑張れよ」

周りを見ると、女の子たちがあたしたちの方を見ていた。

あっそうか、坂井ってこう見えても、学年一の人気者だもんね。

あたしがしばらく黙っていたせいか、坂井が「愛川?」と不思議そうに顔を覗き込んできて。

あたしは慌てて、

「うん、頑張ろうね」

と言い返した。

「じゃーな」と一言そう言って三組に戻って行った。

あたしはそんな坂井の姿をじっと見ていた…。