「俺さ、俺の事信じなくていいとか大人ぶったこと言ったけど、心のうちでは不安ばっかで、それを見せないようにしてきたけど、不安だったから愛川にそう言ってもらえてすごい嬉しい」


お落ち着きを取りもどしたのか、いつの間にかいつもの坂井に戻ってて。


「それを、愛川の口から聴けたのが最高にうれしい。思いは届くんだな」

「思い…?」

「ずっと思ってた。俺の思いがいつか愛川に届けばいいなって。思ってれば届くって本当なんだな。今、すごい幸せかも」


「あたし、坂井のその笑顔スキ…え、あ、いや違う!違くない」

「愛川、テンパリ過ぎだから。でも、サンキュー。その言葉ありがたく受け取っとくわ」


「で、俺が泣いたこと内緒だからな?言ったらどうなるかわかるよな…?」

あ、あれ?

坂井なのに坂井じゃない気が…する。

「俺様…?」

「ちげーよ。でも、言うなよ?」

「わ、わかった」


もう、半ば強引にだけどね。


「あのさ、聞いてもいいか?親友の事。嫌ならいいんだ」

「いいよ、平気」

「心友のこと愛川はどう思ってんだ?」

「どう思ってるって?」

「たとえばだけど、もう会ってもなにも思わないくらい吹っ切れてんのか、まだ忘れてないとか」

「病院で会って、心が揺れたから忘れられてないんだよね。忘れてたら、堂々と入れるもんね。でも、あたしはひどいことされた人を許せるほどそんな広い心は持ってないから」


「そうだよな。変なこと聞いてごめん。でも…やっぱやめた」

気になる。

言いかけたのに、やめないでよ。

よけいに気になっちゃうじゃん。

「言ってよ。あたしなにも思わないから言って!!」

そう言うが、なかなか教えてくれない。

あたしが傷つくだろうと思って言わないんだろうけど、あたしに気なんか使わないでよ。


「お願い!」


「……わかった」

少しの沈黙はあったけど坂井は分かったと言って話してくれた。