「おい!なに1人で百面相してんだ?」


坂井のその言葉で現実に戻されたあたし。

「別に!」


「ふ~ん。なんかすっきりした顔だな!」


「坂井のおかげかも…」

そう言って慌てて口をふさぐ。

「なんか言ったか?」

「え?別に、なにも」

よかった、なんとか聞こえてなくて。

ほっと、安堵する。


「俺の事、信じれなくてもいいけど、今日みたいなことはするなよ?」


「う、うん」


「頼りねー返事だな。絶対だぞ?」


「はい」


「ならいいけど。もし、そういう気持ちに押しつぶされそうになったら俺を頼れよ?今日みたいに1人で抱え込んで、ひとりで解決しようとするなよ?ここにいるんだからな!お前を、愛川のことを大切に思ってる奴がいることぜってー、なにがあってもわすれんじゃんーぞ」


「うん」


「待ってるからよ、愛川が俺の事信じてくれるの、頼ってくんのをさ」


「それなら…」


「ん?」


「それなら、もう頼ってるよ。坂井の事頼ってなかったら、こんな話しないよ。家族の事も親友の事だって。あたし、信じてるよ、坂井の事…「ガチャン――」

まだ話はあったのに、そんな音が聞こえて横に目を移すと、


「マジかよ?!」


と、どんだけ開いてるのってくらい目を見開いてあたしをじっーと見ていた。


その表情は、びっくりしてるような、でも、嬉しそうでそんな表情。

「うれしーっ。マジかよ!俺、すげー嬉しい」

あたしをさっきよりも強くギュッと抱きしめられた。