「それに、みんなの人気者がだよ?なんであたしに関わるのか分からなかった。クラスで浮かれてるあたしと一緒にいたら注目されるじゃん?人気者がなんで愛川さんと一緒にいるの?って言ってるの聞いたこともあったし。しまいにはあたしがどんなにひどいこと言っても折れないし。ほんとばかだよ、坂井は…」
いつしかあたしは涙を流してて。
そして坂井の腕の中にいた。
静かな部屋に鼻をそそる音しか聞こえない。
あたしのあたまをポンポンと叩く。
それが心地よくて話を続ける。
「でも、いつしか隣に坂井がいるってことが当たり前になってたんだよねっ。1人がいいって、ひとりが好きって言ってたけどほんとは1人が一番嫌いだったんだなって思った。グスッ、あたしはただ強がっただけなんだよね。
看護師さんにも言われた。今まで心友と言う存在と2人で居たのに、急に1人になったら寂しさで押しつぶされるに決まってるって。“二人”で居たのに、1人になってなにも感じないわけない。今まで二人でどんなことも分かち合ってきた人が簡単に1人に慣れることは出来ない。ってさ。
そう言われた時、確かにって思った自分が居て。その時思った。ずっと過去に縛られてたんだなーって」
「そうだな。この世に1人が好きな人間はいないかもな。1人が好きって言ってても心の中では寂しいって気持ちを抱えてるかもしれないし、いろんな葛藤と戦ってるのかもしれないな」
「うん……」

