「そんなこと…」
そんなこといいよと言おうとしたのにその言葉は遮られた。
「優斗から日にち教えてもらったのに行かなかったんだ。なんか愛川に合わせる顔がなくってさ。って言っても言い訳にしかならないな。約束したのにごめんな…これじゃ、愛川の事言えないよな」
「ほんと。すごく寂しかった。ちゃんと約束したのに…。でも坂井の事だからなんかわけがあったんでしょ?」
これは本当の気持ち。
あんなヒドイこと言ったあたしは悪いけど、期待してた。
待ってた。
坂井なら来てくれるって。
だから、来てくれなかったとき、すごく悲しかった。
自分が思ってたよりも期待してみたいで。
病院を出て行く時も何度も後ろを振り返ったけど坂井の姿が見えることはなかった。
「ほんとごめんな。こんな俺じゃ、信じてもらえるわけねーよな」
「あの日、帰り際言いかけたことは愛華、親友の事でしょ?」
「…知ってたのか」
「少し長瀬くんから聞いた。詳しくは教えてくれなかったけどね」
「あぁ、でもその話はもういいや」
「え?」
「もう少し落ち着いてからな。急いだからっていいわけじゃないしさ」
「…うん」
素直にうなずいた。

