あふれるほどの愛を


「入って」

「お邪魔します…」

丁寧に靴を揃え、中に入ってく愛川をじっーと見ていた。

「元気ねーな…」

誰にも聞こえない声でそう言ったあと俺も部屋の中に入った。


部屋に入ると愛川がテレビの前にたっていた。

「立ってないで座れば?」

そう言うと素直に座った愛川。

「坂井?」

「ん?」

「少しの間1人にしてくれない?」

「…わかった。」

少しの沈黙のすえ、俺はそう答えた。

「ごめんね…」

「別にいいけど、なんかあったら呼べな?」


うんとしか言わない愛川にな?と念を押して玄関を出た。


「ほんとに平気なのか?1人にして」

玄関におっかかりながら、こんなことを言ってみる。


あんな弱々しい姿をした愛川を1人になんか出来ないだろ…。


でも、一緒にいたってしてあげることはない。

一緒にいたら、また綺麗事いって、愛川を追い詰めちゃうかも知れない。

そう思ったら、入ろうとしてドアに掛けた手も戻してしまう。