あふれるほどの愛を



「分かったから、一旦落ちつけよ」

そう言って愛川の頭をポンポンと叩いても嫌と言わなかったことにホッとしながらも、これからどうすれば愛川の本当の笑顔が見えるかをずっと考えてた。


「じゃっ、帰るか!」

「へっ?」

「ずっとここに居るわけにはいかないだろ?」

「で、でも」

愛川が言いたいことはわかる。

「俺ん家に帰るんだよ」

「わ、悪いよ…」

変なことはこだわるんだな。

「そんなの気にすんなよ。ほら、いくぞ」

サッと愛川の腕を掴み来た道を戻り始めた。

愛川も俺も話さなくて、長い長い沈黙が続いた。