あふれるほどの愛を


今すぐにでも愛川のほうへ走って行きたいという気持ちとは裏腹に、全くと言うほど動くことが出来ない。

進んだと思ったら離れてく。

さっきからずっとこんな感じだ。

これじゃあ、愛川が見えなくなっちまうよ。

石につまづきながらも、必死に前へ進む。

少しづつだけど、愛川に近づいてると思いながら…。


あと、少しだ…!!


愛川までもう少しと思ってホッとした時だった。


目の前の愛川が川の流れに従って流れてく。

「あ、愛川っ!!」

あっという間に離れていく愛川。

それは、スローモーションのよう。

だけど、確実に離れてく。


石につまづいても何度も立ち上がり愛川を追いかけてく。


「愛川っ!」


手を伸ばせば届くくらいまで近づくと愛川を手でぐっと掴み、ギュッと抱きしめた。


離れないように、


俺から離れていかないように、



ギュッと抱きしめた。