あふれるほどの愛を


あれから何分たっただろうか?

水の流れはさらに勢いをまし、歩くのも困難になってきたころ。

川辺の真ん中に1人立ってる姿を見つけた。

その人が着ている服に見覚えがあった。

あの服って、


「愛川だ!!」


そう大きな声で名前を呼ぶと、駈け出した。

足元には石ころがたくさんあって、思うように走れない。

「いってぇー」

小さな石につまずいて、こけてしまった。


服はびっちょりになり、膝にはうっすら血が滲んでいた。

でも、そんなの眼中にはなかった。

目の前にいる愛川がどんどん離れて行く。

「待てよ!!」


大きい声を出しても、愛川には届いてないみたいでまた俺から離れてく。