あふれるほどの愛を


「楽しそうなんかじゃねーよ。自分じゃわからないかもしれないけど、今のお前の顔、苦しそうな顔してるよ」

「えっ?」

そんな顔してるわけないじゃん。

「そんなことないって顔してるけど、本当だから」

心を読まれてしまったあたしは坂井の言葉に何も言えなくなった。

気がついたら、自然に涙で頬に流れて…

「泣くなよ…」

そんなこと言われたって…余計涙が出てくるよ…

「ごめんな。変なこと言って…」

坂井は号泣するあたしの肩を持ち、ずっと背中をさすってくれていた。


ーーーしばらくして、落ち着いてきた頃、坂井は口を開いた。

「今日はごめんな。
でも、俺は愛川が何かに苦しんでるなら、誰がなんと言おうとも助けたい。だからこれ持っててくれよ」

そういって坂井に手渡されたのは、二つに折り曲げられた白い紙っぺらだった。

開いて見ると、

電話番号とメールアドレスが書いてあった。
そのしたには
《愛川は一人じゃないからな。俺が居るからな。夜中でもかけて来いよ。》

と書かれてあった。

「なにこれ?」

「見れば分かるっしょ、俺の番号とメアド」

「それは分かる!これいらないんだけど」

「俺のメアドもらえるなんてラッキーだぜ。レアだよ」

「はぁ⁉そんなことばっか言ってんなら帰る!」

「冗談だよ冗談。何かあったらここに連絡して。いつでも駆けつけるから」

「あっそ。絶対かけないけど…」

「待ってる。あとこれやる」

坂井が手渡してきたものそれは、パンだった。

「お昼ないだろ」

「あ、ありがとう」

たったこれだけなのに嬉しくて涙が出そうになる。