あふれるほどの愛を


「ここか」

チューリップ畑を少し出たところに確かに細い道があった。

でもその道は薄暗くて、この先に川辺があるなんて思えない。

ってか、俺はなんで川辺に向かってるのだろうか?

それは自分にも分からなかったけど、でも

直感的にそこに愛川がいるって思ったんだ。

だから、勝手に足が動いてダッシュで細い道に入っていった。

しばらく走ってると、出口が見えてきた。

「あった!ここだ」

目の前には川辺。

自然豊かで確かにいい場所だってそんなことを思ってる場合じゃないんだ。

「愛川…」

キョロキョロして周りを見るが、愛川はおろか人さえもいかった。


「愛川ーー!!」

あちこちさがして見たけど、やっぱりいなかった。

「ここじゃないか」

と、帰ろうとして、きた道を折り返そうとした時、俺の携帯がポケットの中で震えた。


画面には優斗と表示されていた。


「もしもし?」

『春樹か?優心ちゃんヤバイかもしれない』

電話の優斗の声は焦っている。


「は?」

ヤバイかもなんて言われたってこっちはちんぷんかんぷんだ。


『だから、優心ちゃんーーー』


優斗の話しを聞いた瞬間頭の中が真っ白になった。