電車が止まり、ドアが開くと誰より先に走りながら駅を出た。

しばらく走って、見えてきたのはお花畑。

ここ、案外広いんだよな。

チューリップが沢山で目の前が見えない。

愛川、待ってろよ…そう心でつぶやいた後、俺は走りだした。


「愛川ーっ!」


そう叫んでも誰の声もしない。

物音すらもしない。

ヒューと風が静かになってるだけ。



「いないな…」


1周まわってみたが、愛川はいなかった。

それに人がまったくと言うほどいなかった。

まぁ、それもそうか。

誰もいないところだからこそいつもここに来てたんだからな。

それから、2周、3周してみたが、見つからなかった。


「やっぱりここじゃねーか」


そう言って諦めてしょぼんとしながら駅に向かった。