坂井に引っ張られ、連れて来られた場所は、屋上だった。
「なんの真似⁉あたしを連れ出して!」
「だからさっき言っただろ、話ししにきたんだよ」
「あたしは話すことなんかない」
「愛川がなくても、俺はあんの」
あたしは怒っているのに、坂井は冷静で。
「愛川、怒るなって。授業のことは優斗がどうにかするし。」
「違うクラスなのに無理だから!」
「まあまあ、落ち着けよ。大丈夫だから」
「大丈夫じゃないし。」
「へーき。
ってかさ、なんで階段に走ってきたんだ?」
「なんでもいいでしょ。あんたには関係ないんだから」
「関係なくないね。昨日、俺愛川に救われた。だから、愛川のこともっと知りたいなと思ったんだよ。昨日の愛川と、職員室出た時の愛川、まるで人が違ったようだった。なんか理由あんじゃないの?」
「別にない」
「冷たいな。
でも、愛川は悪いやつなんかじゃない」
「なんでそんなことわかるのよ。昨日の初めてあったばっかりじゃん」
「分かるよ。泣いていいよって言ってくれたじゃん。嬉しかったんだ。俺の周りには、どんなにつらいときもそう言ってくれた奴は居なかったから。」
「あっそ。あたしもう帰る」
そう言うと、あたしは屋上から出ようと、立ち上がろうとしたが坂井に腕を引っ張られて、気づいた時には、坂井に抱きしめられていた。

