「ほら、立って」
そう言って、手を差し出して来たからあたしはその手を取り立った。
「部屋行こうぜ?」
そう言われて部屋に戻ることにした。
「あのさ、長瀬くん」
「なーに?」
「坂井、あたしのことなんか言ってた?」
おそるおそる聞いた。
昨日からずっと思ってたこと。
「少し聞いた。死にそうな顔して部活に来たからさ話聞いたんだよ」
「あたしのせいだ。坂井にそんな顔させたの」
「そんな自分責めんなって。悪気なかったんでしょ?」
優しい声で言われたってあんなこと言ったのはあたしなんだから。
「でも…」
「麻衣も言ってたよ。私が余計なこと言っちゃったってさ」
「長瀬くんが麻衣って言うの始めて聞いた」
「あんまり言わないかもな」
「だよね。麻衣ちゃん長瀬くんに話したんだ…」
「ちげーよ。余計なこと言っちゃったってだけ聞いたのは。それ以上言わなかったしな」
「そっか」
「…で、優心ちゃん俺に聞きたいことはない?春樹のことならなんでも答えるぜ?」
そんなことを言われて1番に聞きたいことはあのことだけ。

