あふれるほどの愛を


「その涙は春樹のせい?」

泣いているあたしをみてた長瀬くんはそう一言向かった。

「……」

「図星か」

なにも言わないあたしを見て、長瀬くんは確信した様子。

「ち、違うよ」

「違くないだろ?だって今の優心ちゃん、春樹と同じ顔してる」

同じ顔…?

「悲しい顔ってこと」

あたしの思ってることが分かったのか口を開いた。

「あたし悲しい顔なんて「してる」

「自分じゃ気付かないんだな。でも悲しい顔してるよ」

黙っちゃうあたし。

「春樹も元気なくてさ。部活でもすげーの」

「すごい?」

「そう。いつもなら入るゴールも何回も外すしよ。怒られてばっか。すごい分かりやすいんだよな」

「分かりやすい?」

「そう。優心ちゃんとなんかあるとすぐ行動に出るんだよな」

「あたし?」

「そう。でも内緒。これ以上言ったら春樹に怒られっからさ」

そう言って坂井の話は終わった。