そう言って、渋々大きなポケットにスッとチケットをしまったのを見ると、あたしは口を開いた。
「あの、愛華…なんか言ってました?あたしのこと」
「なにも言ってなかった…けどこれ渡された。嫌がっても渡してって」
チケットをしまったポケットとは反対のポケットから小さな封筒が出てきた。
「はい」
「いらない!」
「だめ!受け取って!」
「いーや!なんであんな人の受け取らなきゃいけないわけ?」
「せっかく病院まで来てくれたんだから!!」
「見舞いに来たらどんなことでも許されるわけ?あたしはあんな人のせいで色んなことめっちゃくちゃにされたのになんで今さらっ。謝られたって何されたって許せない!あたしはそんないい人なんかになれるわけない!」
「あたしのなにを知ってるわけ?なにも知らないのに言わないで!どーせあたしの気持ちなんて誰にもわからないよ!!!」
そう言って「ドンっ」と勢いよく開けてダッシュで部屋に入って入り口が開かないように、しがみついた。
「あたし、どうしたらいいの…」
そう呟いた声は静かに消えてった。
しばらくして看護師さんが来たけどドアは開けられなかった。

