「優心ちゃん?一階の自動販売機があるとこに今いるんだけど…ってどうしたの!顔色悪くなってるじゃん!!」
そう言って、どこかに電話する看護師さん。
「大丈夫…」
いつの間にか電話を終わらせた看護師さんが「大丈夫じゃないでしょ!」といってあたしをベンチに座らせた。
「どうして部屋に帰らないの?」
「ふふ。だって今部屋に行ってナースコール押してみな?行けなくなるよ?」
そう言う看護師さんのてにヒラヒラされているのはなんと水族館のチケットだった。
「なんでそれを持ってんの??」
「拾ったの!ベットの下に落ちてたの。大事なものなんでしょ?」
そう言ってチケットをあたしの前に差し出した。
「いらない…」
「え?」
「いらないの!それ」
「なんで?楽しみにしてたんでしょ?ね?」
なにも答えないあたしに聞き返してくる。
「もう必要ないの!!」
「なんで、あんなに大事に持ってたのに…」
「そんなわけ…」
…あるか。
「でも、今はいらないの!」
「…そう」

