「なんか、静かだな」
「だね。帰らないの?」
「なに?愛川は俺に帰って欲しいわけ?」
そう言われて、また疼きだすあたしの心。
「そんなわけ…」
「ん?そんなわけ?」
「そんなわけないじゃん!!一人じゃ嫌だ…」
そう言って近くにあった坂井の洋服の裾を掴んだ。
「いつもの愛川なら、俺が居なくてもさみしくないよ!って言うのに最近素直だな」
確かに…
あたしなのに、あたしじゃないみたい。
今までなら人を簡単に頼ったりしないし、こんな素直にならなかったのに。
最近おかしい…。
「はぁ、、、」
坂井に気づかれないように小さく小さく着いたため息。
「なぁ、愛川。いや、なんでもねーや」
「なに?気になるじゃん!!」
そう言っても教えてくれなかった。
でも、言ってくれたのは、今の愛川に言っても頭に入らないからってこと。
「それって、どういう意味…「俺、帰るな」
「え…、は?なんで?」
「じゃ」
静かにドアがしまる音がさみしく聞こえた。

