広い部屋に二人残されたあたしは、なにかそわそわしちゃう。


「気ぃ利かせて二人きりにしたんだな」

「麻衣ちゃん?」

「そう。別に帰らなくてもいいのにな」

「そーだね…」

と言うものの、なぜだろう?

二人きりになれて良かったって思ってるのは。

あたし、最近おかしんだよね。

坂井を見てるとドキドキするの。

こんなの気のせいだ!と自分に言い聞かせる。

久しぶりに坂井にあったからに決まってる。

「どうした?ぼーっとして」

そう言って顔を覗きこんでくるから、あたしは慌てて「なんもないよ!」と坂井の窓のほうを見た。


「あのさ…さっきの話なんだけど、一緒にいかねぇ?」

さっとあたしの前に指しだれたのは二枚の紙。

……そう、水族館のチケットだった。

「水族館に…?」

「そう。二人でいかねーか?」

「うん!行く!」

ニコッと笑って言うと坂井はあたしの倍笑って「やったー!」と喜んだ。

「これ、夏休み限定のだから。体調直してぜってー行こうな!」

「うん!」

水族館というごほうびができたから二日間の入院も耐えられそう。