side春樹
「愛川!愛川!」
目の前で倒れた愛川に肩を叩いて呼びかけても返事はない。
大きい声を出していたのに気付いた看護師さんが近づいてきて愛川は検査室へ消えて行った。
そんな光景を俺はじーっと見ていた。
愛川のおばあちゃんは放心状態。
俺はその場に居たくなかった俺は1階の販売機に向かった。
お茶と2つ買って戻った。
「これ、よかったらどうぞ」
「ありがとね」
お茶を渡すとおばあちゃんはニコッと笑い受け取った。
その隣に腰を下ろした。
「坂井くんだっけ?」
「はい」
「坂井くんは優心ちゃんの彼氏?」
「えぇー?!違います」
いきなりの質問に大きな声を出してしまう。
「そうなんだ。私はてっきりそうだと思った。そうそうごめんね優心ちゃんあんなヒドイこと言って」
「大丈夫です。俺こそあんな…」
「いいのよ。坂井くんは間違ったことは言ってないから大丈夫」
「でも、「愛川さんのご家族の方ですか?」
俺の声は愛川の主治医に遮られた。
「そうですが、、」
「色々お説明があるのでこちらへどうぞ」
「俺はここで待ってるので」
「坂井くんも来て?」
「でも、俺は家族じゃ」
「家族じゃないなんて関係ない。優心ちゃんの事大切に思ってくれてる坂井くんだもの。聞いてちょうだい」
そう言われ、主治医に案内され個室に入った。

