あふれるほどの愛を


「ちょ、二人とも!ケンカはやめなさい!」

そのおばあちゃんの声であたしたちのケンカは止まった。

「あたしが説明するから。外のベンチに行こうか」

そう言って、3人無言のまま外のベンチまで向かった。

ベンチに座ってからも沈黙は続いて…気まずい雰囲気が流れた。

「あのね、、」

最初に口を開いたのはおばあちゃんだった。

「病院から電話来たんだ。優心ちゃんが倒れて入院したって。それで優心ちゃん家に向かったの。そしたら家の前に坂井くんがいてね、家には亮がいたからドア開けてもらったの。でもお母さんたちは出掛けたのかいなくてでも亮が保険証のある場所教えてもらって病院に来た。ってことよ」

「だから?あたしは来てくれなくてもよかった!」

「ゆあ「ふざけんな!!!!!」

おばあちゃんの声を遮った坂井の声は病院の外にいても響くような怒鳴り声だった。

そんな坂井の声に周りにいる人が「何事だ?!」と言う顔でこちらをチラチラ見ていた。

でもそんなの気にしない。


「なによ!?」


「みんな愛川の事心配してんだよ!!!なんでそれに気付こうとしないんだよ!」

「はは。何言ってんの?あたしの事を心配してくれる人なんていないんだよ!!」

「今の愛川には周りが見えていない。なんで俺がみえてねんだよ?!」

「ばっかじゃないの!!あたしには誰も必要ない!お願いだからあたしの事はほっといて!!!」

そう言ってその場を後にした、、、

いや、できなかった。

走ろうとした瞬間息が苦しくなった。

そして目の前が一瞬にして真っ暗になった。



あたしはまた倒れたんだ――――――――………