あふれるほどの愛を


この病院広すぎ!

走っても走っても出口がない。

なんかどんどん辛くなって行く。

「はぁはぁ、、」

―――――ドンッ

「いたっ!」

あたしは下を見てたから誰かにぶつかって、尻もちをついてしまう。

「大丈夫か?」

「立てる?」

そんなあたしを心配する声が聞こえて顔を上げる。

「え……」

二人の顔を見てあたしは一瞬息が止まったかと思った。

だってそこにいたのは

「坂井……とおばあちゃん…」

「優心ちゃんなんでここに?寝てなくて大丈夫なのかい?」

「なんで、二人が、ここにいるわけ?」

あたしは冷たく言い放つ。

「病院から電話があったの」

「は?あたし、スマホ待ってないから番号分からないじゃん!」

「ポケット」

坂井がぽつりとつぶやく。

「は?」

坂井は話をつづけた。

「ポケットに入ってたんだって。おばあちゃん家の電話番号が入ってた紙が。それで電話掛けたってわけ」

「ふ~ん。で?何の用??あたし忙しんだけど」

忙しいなんて嘘。

ここから1秒でも早く逃げ出したい一心でついたウソだった。

「なんで俺らから逃げた?」

「は?意味分からない。いつあたしが逃げたっていうわけ?」

「じゃ、なんでスマホ家に置いたまま家を飛び出したんだ?」

そう言って坂井がポケットから出したのは

「あたしのスマホ!!!」

「なんであんたが持ってんの?」

「届けに来てあげたんだけど」

「あたしは頼んでませんけど?」

こんな感じで坂井との言い合いが続いた。

ここが病院でみんなが見ていると言うことも忘れて……。