絶対あたしが打つようなメールじゃないでしょ。

顔文字まで使っちゃってるし。

まぁ、内容はほとんど長瀬くんが決めたんだけどね。

「これでよし!」

「これだけじゃないでしょ?用事って」

長瀬くんの顔を見て言う。

「バレた?」

「ばればれ~。あの人の事?」

「あの人?」

「海であった元親友」

「元かぁ…。」

「あたしを裏切ったの!ごめんね、あの人の事これ以上は思い出したくないんだ」

「そっか。でも一つだけ言わせて?」

「なに?」

「言ってたよ。海で。『優心と話がしたいの』て。
真剣な顔だった。話ししてあげたら?」

「なによ…」

「ん?聞き取れな「なによ!誰もあたしの気持ちなんか分からないくせに!!!」

あたしの大きな声に「優心ちゃん?!」と驚きの様子。

そりゃそうか。

だって普段は静かなあたしがこんな大声出してるんだもん。

「あたしはあいつに裏切られて、目の前真っ暗になったのに。あっちはのうのうと楽しんで!絶対許せない!あたしは、あたしは!」

「優心ちゃん落ち着けって!俺が悪かった!ごめん!」

あたしは、枕や大きいクマのぬいぐるみを長瀬くんに投げつける。

「優心ちゃん!落ち着いて!」

投げるものがなくなったあたしは近くにあった財布だけを持って部屋を出た。

そんなあたしを欠かさず追いかけてくる長瀬くん。

そんな長瀬くんを無視しして勢いよく玄関を飛び出した。