あふれるほどの愛を


「愛川!待てよ。何度逃げても俺はお前をどこまでも追いかけるからな!!」

「な、によ」

「え?」

私の小さい声は坂井に届かなかったみたいで。

「そんな事言っていつも裏切るのは向こうなのに!!!!」

「でも、俺は」

「裏切らないなんて、そんなのわからないじゃん!みんなそーいうよ。私だけは裏切らないって言う。
あたしその言葉を何回信じたかって。でも、全員裏切った。だからあたしは信じない!」

「愛川…。
俺は裏切らねーよ。何があっても」

何を言っても折れない坂井に腹がたってきたあたしは自分の気持ちをもっとぶつける。

「あたしはね。綺麗事が嫌い!大嫌い。
明けない夜はないとか、出口がないトンネルはないとか、辛い事にはいつかは終わりがくるとか綺麗事ばっかいうけどね、そんなの大嘘よ!あたしはどんなに我慢しても光はこなかった。夜は明けなかった。これからもずっと暗闇だった」

ずっと、疑問に思ってた。

誰かに辛いとか、苦しいとかいうと、必ずと言うほどそういう言葉が帰ってきた。

明けない夜はないそれは嘘。

確かに、辛いくて毎日泣いてた人がいつキラキラとした毎日に変わるのかは誰にもわからないじゃん。

この広い世界には、長い長い夜が明けた人も居るんだろうけど…

あたしは信じられない。

誰だって自分がそういう立場だったら明日なんて未来なんて、見えないだろう。

この先もずっと、このままなのかな?って不安になるはずだ。


さっきから、静かになってしまった坂井。

あたしに呆れてくれたみたい。

よかったぁ、、

立ち上がろうとしたら後ろから「待てよ」と坂井とは思えないほどの低い声が聞こえた。

今まで坂井を見てきたけど、こんな怖い表情は見たのも、そんな声を聞いたのも始めてだった。

だから、立ち上がれなかったんだ。